ひつじ昔語り
今回も昔話をしましょう。
正確にはひつじの体験では無く、父の体験です。
確か小学校上がった頃かな、夏の頃だと思います、庭の隅道路に近い場所に中型犬がおりました。
その夜は夜中近くに吠えまくっていました、目の前の道路右手に向かうと左手の山に墓地があります。
前日の記事に書いた寺の墓地になります。
幼い頃ここの寺と墓所では色々な体験をしましたが、其れはまた後日。
余りにも吠えて煩いので、怒りに出たそうです。
当時街灯も殆ど無い暗い状態でしたので、シャツにステテコ姿で道路際の犬まで行って、
「うるさいぞ!」と怒鳴った時の事、親父さんの目の前を、しましまのセーターを着て、
Gパンに便所サンダル(カラコロと鳴るアレですね)の女性が目の前を通過していった。
普通目の前を通る訳ですから、犬はそれを見ながら吠えるものですが、
何故か墓所方面を見ながら吠えてたそうです。
親父さんは目の前を過ぎていった女性が先の角を曲がるまで見ていたそうですが、
特に気にする事も無く、犬の頭を小突いて部屋へ戻ったそうです。
しかしです、翌朝の事、昨夜の事を思い出していて、おやぁ?となりまして、私らに説明してくれました。
「普通の犬はよ鼻先を知らない人が通れば吠えるだろ」と親父
「そうだよねー、どうだったの?」と私ら
「それがよ、墓地の方を見て吠えてるんだよ、馬鹿だよなぁ」と親父
そこで何かに気づいたらしく、ハッとした顔で言いました。
「そういえば、あの女この真夏に何でしましまのセーター着てたんだろうな」と
「えぇ、暑いのに変な人だよね」と私ら
「それにな、あの女トイレの突っ掛けサンダルだったけど足音聞こえなかったぞ」と聴いた私ら、
一気に寒気が来ましたよ、昔はそれほど暑く無かったですが、其れでも底冷えしました。
その後女性の正体を記憶を便りに探しましたが、近所の集落の誰でも無かったそうです。
当然ながら遺影からの捜索でしたけどね。
そんな話がありました。
2015年7月29日
黄色いひつじ